徹子キョウレツ〜

 今回ツッコませていただくのは、7月1日放送分の『徹子の部屋』(テレビ朝日系)。ゲスト・渡瀬恒彦の名前を見た瞬間、「え!? また来ちゃったの!?」と不安になった。

 というのも、彼が同番組に昨年10月に出演したばかりということが1つ。もう1つの理由は、前回、「愛犬の死」「詐欺にあった話」など、深刻なはずの話を散々面白がられるという「被害」に遭っていただけに、「懲りずにまた?」というものである。

 期待を裏切らない徹子が、最初に選んだ話題は......。

「いつも散歩に連れてらした犬が死んだと」

 なんと前回のまとめ部分から、さくっとスタート。改めて渡瀬に愛犬の死について語らせた上で、「で、犬がいなくなっても、今も2時間から2時間半お歩きになる」と、「本題」へ。そして、渡瀬自身が撮影した川辺の散歩写真が次々と紹介された。

渡瀬「これは日光浴するカメ」
徹子「カメも伸びするんですね〜。ずいぶん全部出しちゃってて、無防備な状態ですね〜」

 と亀にまで注意しているかと思いきや、今度は鳥の写真を見ながら

徹子「これ、何か捕ったの? 捕ってない?」
渡瀬「捕ってないです」
徹子「ずっと見てたら何か捕るんでしょうけど。これは失敗してるんでねー」
渡瀬「笑......」

 動物の写真1枚1枚に対する徹子のコメントのポイントが独特すぎて、松本人志の「一人ごっつ」か、いとうせいこう×みうらじゅんの「ザ・スライドショー」のような爆笑トークになっている。

 渡瀬恒彦はその都度、笑っていたが、そんな流れも「アオダイショウ×カラス」の写真でストップした。

徹子「これ何?」
渡瀬「アオダイショウなんですけど。よく見てたらカラスと対決してるんです」
徹子「よく対決しますねぇ、みんなねー」
渡瀬「笑」
徹子「で、これから何かまた進展あったんですか?」

 そう聞きつつも、徹子の関心は別のところにあった。

徹子「あのヘビ、干したヘビじゃないの? ずいぶんカラカラしてるんじゃない?」
渡瀬「そんなことありませんよ(笑)」
徹子「ちゃんとしてます?」
渡瀬「ちゃんとしてますよ(笑)」
徹子「ちゃんとしてます?」

 なぜか川辺にいるアオダイショウを「干したヘビ」と思い込み、渡瀬が否定しても、なかなか受け入れない徹子。そもそも徹子の言うところの「干したヘビ」というのが何なのか分からないが、どうしてもカタチが気になって仕方ないようで、続くコメントはコレ。

徹子「でも、相当長いでしょうねぇ、ほどいたら」
渡瀬「ほどいたらって......(笑)」

 とうとう窒息しそうなほど顔を真っ赤にして悶絶してしまった渡瀬に、徹子は追い討ちをかける。

「だってヘビってもっとお供え餅みたいにグルグルでしょ?」「変な形ですねえ〜、なんか締まりがないっていうか。なんかグチャグチャと」

 なぜかヘビのカタチについてのクレームが続き、徹子が何か言うたび、笑い転げる渡瀬......。それを見るうち、思い出されたのが、2007年のNHK朝ドラ『ちりとてちん』で渡瀬が演じた「草若師匠」であった。

 主人公が何かドジをするたび、「あんた、おもろいなぁ〜」と微笑む師匠は、ひとクセあるダメな弟子たちを愛する、人間味溢れる人だったけど......。

 今さらだけど、あの役は、かなりご本人に近かったのではないか。そして、普段、トーク番組にほとんど出ない彼が、あえてこの番組にばかり出るのは、やっぱり、この一言に尽きるのか?

「あんた、おもろいなぁ〜」

 最初は被害者に見えた渡瀬恒彦。でも、自ら好んで徹子の危険な部屋に通っているのかもしれない。




徹子の部屋」ではヘタをしたら徹子さんがゲストになっちゃうくらいにその存在が大きい。つまり主客の逆転現象が起きてしまうのだ!

「干したヘビ」発言は徹子さん独自のもの。永遠の窓際のトットちゃんなのである。だから独身なのかなあと思ったりする。

彼女は名うての鼻促音の使い手で、発音がきれいだ。聞き手を癒すような司会者とも言えようか。この仕事で菊池寛賞も受賞している。

最後の昭和の大物タレントとしての存在は揺るがないだろうね。森光子より国民栄誉賞にふさわしい人ですねw